お元気ですか。みなさんと会えない日々を、とてもさみしく思っています。けれども、今が大事な時。
5年生のみんなで「会える、その日」を心待ちにしながら、もうしばらく我慢をしてください。
先日、お知らせした時間割のように、家での学習を進めることができていますか。
学習はもちろん大事。でも、健康もそれと同じく、第一に大切だと思っています。ときには家の前でなわとびをしたり、お家の方にお願いをして、散歩やランニングに出かけたりしましょう。体調の管理もしっかりとしてくださいね。
さて、今日は、本の紹介をします。
タイトルは、「きまぐれロボット」(角川書店)。 作者は、SF作家の星新一さんです。
短い作品(ショートショートとよばれる短編)が、たくさんのっています。たとえば、次のような…。
新発明のマクラ
「やれやれ、なんとか大発明が完成した」
小さな研究室のなかで、エフ博士は声をあげた。それを耳にして、おとなりの家の主人がやってきて聞いた。
「なにを発明なさったのですか。見たところ、マクラのようですが」
そばの机の上に大事そうに置いてある品は、大きさといい形といい、マクラによく似ている。
「たしかに、眠る時に頭をのせるためのものだ。しかし、ただのマクラではない」と、博士はなかをあけて、指さした。電気部品が、ぎっしりとつまっている。おとなりの主人は、目を丸くして質問した。
「すごいものですね。これを使うと、すばらしい夢でも見られるのでしょうか」
「いや、もっと役に立つものだ。眠っていて勉強ができるしかけ。つまり、まくらのなかにたくわえてある知識が、電磁石の作用によって、眠っているあいだに、頭のなかに送りこまれるというわけだ」
みなさんは、こんなマクラをほしいと思ったことはありませんか? キキメは、ばつぐん!
でも、このマクラにはある問題点があったのです。さて、その問題点とは?
花とひみつ
ハナコちゃんは、花が大好きだった。女の子はだれでも花が好きだが、ハナコちゃんは、とくに花が好きだったのだ。キクやチューリップのような草花も、サクラやツバキのように木に咲く花も好きだった。いつも世界じゅうが花でいっぱいになるといいな、と思っていた。
天気のいい、ある日のこと、ハナコちゃんは野原にでかけた。花を写生するためだった。いろいろな草花を絵にかきながら、ふと、こんなことを考えた。
モグラをならすことができたら、きっと、おもしろいだろうな。モグラたちに地面の下を動きまわらせて、草や木のせわをさせるのよ。草や木はよろこんで、きれいな花を、たくさん咲かせてくれるでしょう。
ハナコちゃんは、その思いつきを、自分の絵にかきくわえた。
そのとき、風が吹いてきて、せっかくのその絵を飛ばしてしまった。
風に飛ばされてしまったその絵が、ある事件をまきおこします。さて、その事件とはいったい?
読後には、「もしかしたら・・・。」と、きっと思うはずです。
これまで本よりも、どちらかというとゲームを優先させていた人にも興味をもってもらえるかもしれません。「本もやはり楽しいな!」、「もっと読んでみようかな!」と、読書に向けて動き出すきっかけにもなる本だと思っています。
一文一文が短く、読みやすく感じると思います。内容は、SF(サイエンス・フィクション)と言って、空想科学的なおもしろ話です。発想する力や創造力(そうぞうりょく)が、ますます必要になるという未来!そんなヒントにあふれたお話です。
また、5年生の学習では、今後、文章を書く機会が多くあります。
星新一さんの文章は、相手が読みやすく、分かりやすい文章を書くための良い手本になります。
文章が上手でない人は、一文がとても長くなりがちです。そんな人が、簡潔な文章を意識できると、読みやすく、分かりやすい文章を書くことができるようになります。
星新一さんの作品は、小学校や中学校の国語教科書で、教材として多く取り上げられてきました。「花とひみつ」もその一つです。興味をもったなら、ぜひ、読んでみてください。